研究助成

2022年度 医学系研究継続助成(基礎)

ヒストン修飾クロストークを介した、生殖細胞運命を規定するエピゲノム動態の解明

研究題目 ヒストン修飾クロストークを介した、生殖細胞運命を規定するエピゲノム動態の解明
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究継続助成(基礎)
所属 東北大学 大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野(大隅典子研究室)
氏名 望月 研太郎
キーワード 生殖細胞 / 胚発生 / エピジェネティクス
研究結果概要  生殖細胞遺伝子は、生殖細胞としての発生分化に関与する一連の遺伝子群であり、現在150個程度の遺伝子が同定されている。興味深いことに、生殖細胞遺伝子群は各種の腫瘍細胞でも高い発現が認められることから、体細胞系譜における生殖細胞遺伝子群の異所的な発現は腫瘍化のリスクとの関連が強く示唆されている。さらに、生殖細胞の発生分化過程においても、各生殖細胞遺伝子の発現開始のタイミングが極めて重要であり、それらの早熟な発現は先天性不妊の原因になる。本研究では、生殖細胞遺伝子群の発現抑制にタンパク質複合体PRC1.6が必要十分であることを確かめた。
 本研究の結果から、着床の前後で、生殖細胞遺伝子群は、まずPRC1.6を介して、RING1B/H2AK119ub1およびSETDB1/H3K9me3によって抑制され、その後にDNMT3AB/DNAメチル化が発現抑制に参加することが示唆された。本研究で得られた知見は、将来的に腫瘍や不妊の原因究明、予防や治療の新たな足がかりとなることが期待される。
公表論文