研究助成

2022年度 薬学系研究助成

ナノ秒スケールで詳らかにする二価カチオンによるイオンチャネルの活性調節機構

研究題目 ナノ秒スケールで詳らかにする二価カチオンによるイオンチャネルの活性調節機構
年度/助成プログラム 2022年度 薬学系研究助成
所属 和歌山県立医科大学 薬学部
氏名 入江 克雅
キーワード イオンチャネル / 構造生物学 / 分子動力学計算 / イオン透過
研究結果概要 イオンチャネルは膜電位や濃度勾配に従って特定のイオンを透過し、活動電位の発生や伝播を実現する。これらのイオン透過はカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの二価カチオンによって活性が調節されることが知られる。イオン透過の詳細な理解のためにはナノ秒スケールでの解析が必須である。そこで、結晶構造解析と数フェムト秒での事象の解析が可能な分子動力学計算を用いて、二価カチオンによる活性阻害を受けるチャネルの阻害機構を解析した。  結晶構造解析の結果、阻害を受けるイオンチャネルではイオン透過経路にカルシウムイオンが詰まることが明らかにし、活性阻害を起こすためにイオンチャネルに導入した親水的な変異アミノ酸が詰まりの原因となると考えられた。この仮説を、自然科学研究機構・岡崎共通研究施設のスーパーコンピューターを用いて分子動力学シミュレーションにて検証し、活性阻害を受けるチャネルでは高頻度にカルシウムイオンが透過経路に詰まることで、ナトリウムイオンの通り抜けが阻害されることを証明した。以上の成果をNat. Comm.誌(14(1) 4236 (2023))にて発表した。
公表論文 結晶構造と分子動力学計算によるイオンチャネルにおける二価カチオンの阻害機構の解析 YAKUGAKU ZASSHI 144(5) 521-526 2024年5月1日 責任著者 Voltage sensors of a Na+ channel dissociate from the pore domain and form inter-channel dimers in the resting state Ayumi Sumino, Takashi Sumikama, Mikihiro Shibata, Katsumasa Irie Nature Communications Article number: 4236 (2023) 2023年12月19日 最終著者 The structural basis of divalent cation block in a tetrameric prokaryotic sodium channel Katsumasa Irie, Yoshinori Oda, Takashi Sumikama, Atsunori Oshima, Yoshinori Fujiyoshi Nature Communications 14(1) Article number: 4236 (2023) 2023年7月15日 筆頭著者責任著者