研究助成
2022年度 ビジョナリーリサーチ継続助成（ホップ）
癌細胞における染色体不安定性が引き起こす細胞内ストレス反応
| 研究題目 | 癌細胞における染色体不安定性が引き起こす細胞内ストレス反応 |
|---|---|
| 年度/助成プログラム | 2022年度 ビジョナリーリサーチ継続助成（ホップ） |
| 所属 | 国立がん研究センター 先端医療開発センター |
| 氏名 | 大橋 紹宏 |
| キーワード | 染色体不安定性（CIN） / 細胞内ストレス反応 / CINパラドックス / 新規がん治療薬開発 / マルチオミックス解析 |
| 研究結果概要 | CDC7 は DNA 複製を制御する中心タンパク質である。CDC7 選択的阻害剤 TAK-931 は、DNA 複製ストレスを介した染色体不安定性を誘導し幅広いがん種で抗腫瘍効果を示すとともに PARP 阻害剤など既存の化学療法剤や放射線療法の感受性を高めるといった新規作用機序を明らかとしてきた (Iwai et al., Sci. Adv. 2019, Iwai et al., Sci. Adv. 2021)。ビジョナリーリサーチ助成（ホップ）採択後も特にがん免疫の観点から形態学特性を多角的にとらえるマルチオミックス研究を進めてたところ、前臨床モデルにおいて DNA 複製ストレスによる染色体不安定の誘導が抗腫瘍免疫反応を強く活性化し、さらに免疫チェックポイント阻害薬の薬効を高める新規作用機序が明らかとなった。これらの研究成果は、2023 年 11 月にネイチャー姉妹紙Nature Communications に掲載され(Morita et al., Nat. Commun. 2023)、また国立がん研究センターのプレスリリースにおいても対外発表され、大きなマイルストーンを達成した。 |
| 公表論文 |
1) CDC7 inhibition induces replication stress-mediated aneuploid cells with an inflammatory phenotype sensitizing tumors to immune checkpoint blockade Nature Communications. 2023 Nov 18;14(1):7490. doi: 10.1038/s41467-023-43274-3. 2) WEE1 confers resistance to KRASG12C inhibitors in non-small cell lung cancer Cancer Letters Volume 611, 28 February 2025, 217414. doi: 10.1016/j.canlet.2024.217414 3) PARP inhibitors elicit a cellular senescence mediated inflammatory response in homologous recombination proficient cancer cells Scientific Reports. 2025 May 2;15(1):15458. doi: 10.1038/s41598-025-00336-4. |