研究助成

2022年度 高等学校理科教育振興助成

ヤマトマナを低カリウム化し、同時に黄化(クロロフィル減少)を温湯処理で改善する

研究題目 ヤマトマナを低カリウム化し、同時に黄化(クロロフィル減少)を温湯処理で改善する
年度/助成プログラム 2022年度 高等学校理科教育振興助成
所属 奈良県立青翔中学校・高等学校
氏名 生田 依子
キーワード ヤマトマナ / クロロフィル減少抑制 / 食塩水栽培 / 温湯処理 / 低カリウム化
研究結果概要 奈良の伝統野菜であるヤマトマナについて、食塩水栽培による低カリウム化と温湯処理によるクロロフィル減少抑制の両立を目的とした。21日間液体肥料で育成後、液体肥料栽培・温湯処理なし(A区)、液体肥料栽培・温湯処理あり(B区)、0.02%食塩水栽培・温湯処理なし(C区)、0.02%食塩水栽培・温湯処理あり(D区)の4区に分け、14日間水耕栽培を行った。温湯処理は収穫4日前に45℃で20秒間実施した。その結果、K⁺濃度は食塩水栽培のC区とD区は液体肥料栽培のA区より有意に低下した。葉緑体量の指標であるSPAD値は、食塩水栽培のC区とD区では、温湯処理ありのD区はA区と有意差がなく、温湯処理なしのC区はA区より有意に低下した。食塩水栽培と温湯処理を併用した区画は低カリウム化し、同時に液肥栽培区と同程度のSPAD値が維持された。食塩水処理と温湯処理の併用は、ポリアミンとベタインの同時誘導を促し、生理機能を高めることで、低カリウム条件下でもクロロフィル量の減少を抑制したと考えた。食塩水栽培と温湯処理の併用は、低カリウム化とクロロフィル減少抑制を両立する有効な手段であると示唆される。
公表論文