研究助成

2022年度 ビジョナリーリサーチ継続助成(ステップ)

血管ネットワーク多様性の獲得原理

研究題目 血管ネットワーク多様性の獲得原理
年度/助成プログラム 2022年度 ビジョナリーリサーチ継続助成(ステップ)
所属 慶應義塾大学 医学部解剖学教室
氏名 久保田 義顕
キーワード 血管新生 / VEGF / アンジオクライン / 骨 / TypeS血管
研究結果概要 血管が全身に張り巡らされる過程は、臓器によって大きく異なるだけでなく、血管内皮細胞の性質にも臓器間、臓器内でheterogeneityが存在することがわかりつつある。本研究では、これまで血管の可視化が極めて困難であり、その血管内皮の性質に不明な点が多く残されてきた硬組織(骨、歯など)にフォーカスを当て研究を展開してきた。従来のイメージング技術にさまざま改良を加え、マウスの骨や歯の切片を、これまでに無い精度で、きれいに切ることに成功、3次元的に単一細胞レベルで可視化する技術を確立した。この技術を使って骨、歯の血管内皮の形態やネットワーク構築を詳細に観察するとともに、シングルセルRNAシーケンシングで、その遺伝子発現を網羅的に解析したところ、骨においては、これまで解析の便宜上捨てられてきた骨端部に、他の部位には存在しないユニークな血管内皮細胞ポピュレーションが存在することを見出し、『Type S血管内皮』と名付け、骨形成、造血維持に寄与することを見出した(Iga et al., Nat Cell Biol 2023)。
公表論文 Spatial heterogeneity of bone marrow endothelial cells unveils a distinct subtype in the epiphysis Nat Cell Biol 25(10):1415-1425, 2023