研究助成

2022年度 ハイリスク新興感染症研究助成

人獣共通病原菌レプトスピラの皮膚突破戦略の解明:早期診断と予防への応用

研究題目 人獣共通病原菌レプトスピラの皮膚突破戦略の解明:早期診断と予防への応用
年度/助成プログラム 2022年度 ハイリスク新興感染症研究助成
所属 琉球大学 大学院医学研究科
氏名 Toma Claudia
キーワード 人獣共通感染症 / レプトスピラ / E-cadherin / 細胞間接着装置
研究結果概要 病原性レプトスピラとは、Leptospira interrogansやL. borgpeterseniiなどの古くから知られている菌種と、近年、新しく報告された菌種、35以上が含まれる。本菌は多くの哺乳動物に感染し、動物種によっては、数週間から数年に渡って菌を尿中へと排出し、環境を汚染する。レプトスピラに汚染された水や土壌との接触により、ヒトは経皮的に感染する。本菌は土壌でも生存する能力があるため、土壌微生物との共存・共生によって遺伝子伝達による多様性を生み出しながら進化してきたと考えられる。 我々はレプトスピラがE-cadherinの細胞内輸送を誘導し、細胞間接着装置を破壊することを明らかにしてきた。本研究においては、レプトスピラはE-cadherinを細胞膜に局在させるために必要なタンパク質(p0071とp120-catenin)が分解されることを見出した。また、リソソームとユビキチン・プロテアソーム系阻害剤の組み合わせでレプトスピラによる細胞間接着装置の破壊を阻止することに成功した。レプトスピラが細胞同士を引き剥がす仕組みを判明したことから、早期診断と予防への応用が期待できる。
公表論文 1. Degradation of p0071 and p120-catenin during adherens junction disassembly by Leptospira interrogans. Frontiers in Cellular and Infection Microbiology. DOI 10.3389/fcimb.2023.1228051 2. ELISA for leptospiral 3-hydroxyacyl-CoA dehydrogenase in urine is a promising screening tool for acute leptospirosis. Access Microbiology. DOI 10.1099/acmi.0.000651.v4