研究助成

2023年度 ライフサイエンス研究助成

例外的に終生繁殖する頭足類にみる寿命特性を制御するエピゲノム機構

研究題目 例外的に終生繁殖する頭足類にみる寿命特性を制御するエピゲノム機構
年度/助成プログラム 2023年度 ライフサイエンス研究助成
所属 島根大学 農生命化学系
氏名 吉田 真明
キーワード 自殺生殖 / 比較ゲノム / ATAC-seq
研究結果概要 タコ類は、卵を保護して孵化させたのち短期間で急速に衰弱し死に至る「自殺的生殖(semelparity)」という特異な生活史を示すことで知られている。本研究では、この分子機序の解明に向け、頭足類では前例の少ない転写調節領域の推定を目的として、エピゲノム解析法の開発と適用を行った。まず、ダイオウイカを用いたChIP-seqの予備検討により、筋肉・肝臓では核DNAやヒストン画分の取得が困難である一方、脳視葉では修飾ヒストン抗体による検出が可能であることを確認した。次に、ゲノム情報と生体試料が利用できるイイダコを対象に、抱卵前後の神経組織からRNA-seqおよびATAC-seqデータを取得し、十分なシーケンスreadを得た。RNA-seq解析では583個のタンパクコード遺伝子が有意に変動し、抱卵期に共通して発現上昇する8遺伝子を検出した。これらは自殺的生殖に伴う生理変化に関与する候補であり、今後ATAC-seqのpeak解析と統合することで、繁殖後の急速な衰弱を制御する遺伝子発現調節機構の解明につながると期待される。
公表論文 Giant genome of the vampire squid reveals the derived state of modern octopod karyotypes. iScience, 28(11), 113832. https://doi.org/10.1016/j.isci.2025.113832