研究助成

2023年度 医学系研究助成(基礎)

カルシウムからみた造血幹細胞・白血病幹細胞のストレス応答機構の解明

研究題目 カルシウムからみた造血幹細胞・白血病幹細胞のストレス応答機構の解明
年度/助成プログラム 2023年度 医学系研究助成(基礎)
所属 熊本大学 国際先端医学研究機構 幹細胞制御研究室
氏名 田中 洋介
キーワード 造血幹細胞 / カルシウム / ストレス / 加齢
研究結果概要 造血幹細胞(HSC)は生涯にわたり全ての血液細胞を産生する能力を有し、その機能維持には細胞内カルシウム(Ca²⁺)シグナルが重要である。本研究では、IP3結合能を有する非酵素型分子Plcl1の役割を解析した。Plcl1は未分化なHSC集団で高発現していた。Plcl1欠損マウスでは定常状態において総HSC数や長期造血能に大きな変化は認められなかったが、CD41陽性HSCの増加と細胞内Ca²⁺レベルの低下が観察された。さらに、急性造血ストレスモデルでは血小板回復が促進され、CD41陽性HSCおよび非古典的巨核球前駆細胞(ncMkP)が増加した。高齢マウスでは、Plcl1欠損によりHSCおよびCD41陽性HSCの蓄積、骨髄系分化偏向、造血再構築能の低下が認められた。また、高齢Plcl1欠損HSCではカルシウム応答性遺伝子群の発現低下が認められた。以上の結果から、Plcl1は加齢およびストレス環境下におけるHSC機能制御に関与する重要な分子であることが示された。
公表論文 Plcl1 Regulates Hematopoietic Stem Cell Function During Aging and Stress by Modulating Calcium Dynamics. BioRxiv. 2025.