研究助成

2023年度 医学系研究助成(がん領域(臨床))

腫瘍浸潤リンパ球の時空間的解析に基づいた長期生存因子の新規バイオマーカーおよび治療への応用

研究題目 腫瘍浸潤リンパ球の時空間的解析に基づいた長期生存因子の新規バイオマーカーおよび治療への応用
年度/助成プログラム 2023年度 医学系研究助成(がん領域(臨床))
所属 岡山大学 学術研究院医歯薬学域 腫瘍微小環境学分野
氏名 長崎 譲慈
キーワード 腫瘍免疫 / T細胞
研究結果概要 がん免疫療法の長期奏効には、腫瘍特異的T細胞の長期生存とメモリー形成が重要である。私たちはヒト腫瘍浸潤リンパ球のシングルセルRNA/TCR解析により、疲弊した腫瘍特異的T細胞を同定し、その一部がリンパ節で長期生存して腫瘍微小環境へ供給され、因子X, Yがを高発現することを見出した。遺伝子導入およびCD8陽性T細胞特異的欠損マウスを用いた解析から、特に因子Yはサイトカイン産生とメモリー形成を促進し、免疫チェックポイント阻害薬による抗腫瘍効果の維持に必須であることが示された。一方、腫瘍特異的疲弊T細胞に高発現するCD106は、CD3/TCR複合体と相互作用してTCRシグナル、増殖、サイトカイン産生を抑制し、その欠損により抗腫瘍免疫が増強した。以上より、因子Yは長期奏効を支える分子、CD106は新規治療標的および効果予測バイオマーカーとなる可能性がある。今後、薬剤休止判断や細胞療法への応用を検証し、T細胞の長期生存・メモリー形成に基づくがん免疫療法の最適化を目指す。
公表論文 Stem-like progenitor and terminally differentiated TFH-like CD4+ T cell exhaustion in the tumor microenvironment, Cell Reports, 2024 Feb 27;43(2):113797.