研究助成

2023年度 ビジョナリーリサーチ助成(スタート)

死細胞貪食に伴うイムノメタボリズム変調の理解と医学応用

研究題目 死細胞貪食に伴うイムノメタボリズム変調の理解と医学応用
年度/助成プログラム 2023年度 ビジョナリーリサーチ助成(スタート)
所属 名古屋大学 環境医学研究所 分子代謝医学分野
氏名 伊藤 美智子
キーワード マクロファージ / コレステロール / リソソームストレス / 線維化
研究結果概要 代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)の肝臓において死細胞貪食の場である病理学的構造(CLS:crown-like structure)が認められ、CLS構成マクロファージは疾患特異的マクロファージ亜集団を形成して病態形成を促進する。本研究において、CLS内部にコレステロール結晶が存在し、CLSを構成するCD11c陽性マクロファージにコレステロール蓄積とリソソームストレスが誘導されることを見出した。リソソームのコレステロールを細胞外に排出するβシクロデキストリン(βCD)ポリロタキサンをMASHモデルマウスに投与すると、マクロファージのコレステロール含量が低下し、肝線維化が改善した。脂肪肝から採取したマクロファージにコレステロール結晶を添加すると線維化促進因子の発現が誘導され、βCDポリロタキサンを添加するとこれらの発現が抑制された。すなわち、MASHの肝臓では死細胞の貪食処理にあたるマクロファージにコレステロールが蓄積することで、疾患特異的活性化を介して肝線維化を促進することから、マクロファージの死細胞貪食に伴う代謝ストレスの軽減が、組織線維化の治療標的になる可能性が示唆された。
公表論文 Lysosomal cholesterol overload in macrophages promotes liver fibrosis in a mouse model of NASH. J Exp Med 220: e20220681, 2023.