研究助成

2023年度 ビジョナリーリサーチ助成(スタート)

人工冬眠と不冬眠細胞による次世代型癌治療法の開発

研究題目 人工冬眠と不冬眠細胞による次世代型癌治療法の開発
年度/助成プログラム 2023年度 ビジョナリーリサーチ助成(スタート)
所属 理化学研究所 生命機能科学研究センター 冬眠生物学研究チーム
氏名 砂川 玄志郎
キーワード 腫瘍 / 冬眠 / 低体温 / 免疫
研究結果概要 現在の医療では救えない命を人工冬眠で救う——その実現を目指し、本研究では人工冬眠様状態(QIH)が癌の進行を抑えられるかを検証しました。癌を移植したマウスにQIHを繰り返し誘導したところ、複数の独立した実験で腫瘍の増大が抑制され、転移に関わる指標の低下も認められました。この効果が単なる体温低下によるものかを確かめるため、同じく体温を下げる全身麻酔の反復投与と比較しました。その結果、麻酔では再現されない冬眠特有の腫瘍応答が認められ、冬眠による抑制効果が体温低下だけでは説明できない可能性が示されました。一方、冬眠中は全身の免疫機能が低下することが従来知られており、これを補うために、当初から「冬眠で進行を止めた癌を、冬眠しない免疫細胞で駆逐する」治療を構想してきました。本研究はその実現に向けた重要な一歩であり、今後は冬眠下でも機能を維持する治療用細胞の設計へと発展させます。この枠組みは癌に限らず加齢や慢性疾患にも応用しうると考えています。冬眠を、単に時間を稼ぐ手段から、能動的に病を治す戦略へ——その基盤を本研究で築くことができました。
公表論文