研究助成

2023年度 ライフサイエンス研究継続助成

免疫応答撹乱を引き起こすレトロトランスポゾン制御機構の解析

研究題目 免疫応答撹乱を引き起こすレトロトランスポゾン制御機構の解析
年度/助成プログラム 2023年度 ライフサイエンス研究継続助成
所属 京都大学 大学院生命科学研究科・石川冬木研究室
氏名 三好 知一郎
キーワード レトロトランスポゾン / ゲノム / DNA損傷 / 自然免疫応答 / 老化
研究結果概要 本研究は動く(=転移)DNA配列であるヒトレトロトランスポゾンL1が細胞内でどのように振る舞い、また細胞である宿主はどのように対応するのか、両者の攻防を自然免疫応答という現象を対象として研究を行った。種々のプロテオミクス解析やトランスクリプトーム解析から、L1の高発現はインターフェロン応答を誘導し、またL1が作り出すRNA-タンパク質複合体を自然免疫応答因子が標的とすることがわかった。その中でも特にHELZ2やHERC5といったウイルス感染防御にも使われる因子が、L1のRNAやタンパク質を減少させ、細胞内でのL1の転移を顕著に抑制することが示された。特にHELZ2はL1 RNAを分解し、HERC5はL1タンパク質の翻訳抑制を促す特異的な分子機構を介することを報告した。また、正常線維芽細胞を用いた老化モデル解析からも、L1をはじめとする種々のレトロトランスポゾンの発現が徐々に蓄積するタイミングで、これらの自然免疫応答因子の発現が上昇することが示されている。今後は、細胞老化という文脈で、両者の競合現象の存在についてさらに解析を進める必要がある。
公表論文 1. Nishimori K., Luqman-Fatah A., Watanabe Y., Takahashi M., Ito T., Ishikawa F., Miyoshi T.* The interferon-stimulated gene product HERC5 inhibits human LINE-1 retrotransposition with an ISGylation-independent mechanism. Nucleic Acids Research. (In press) DOI: 10.1093/nar/gkag334
2. Luqman-Fatah A.*, Nishimori K., Amano S., Fumoto Y., and Miyoshi T.* Retrotransposon life cycle and its impacts on cellular responses. RNA Biology. Oct; 21(1): 11-27. (2024) DOI: 10.1080/15476286.2024.2409607.