研究助成

2023年度 ハイリスク新興感染症研究助成

tRNA分子を標的とする細菌の病原性、休眠、薬剤耐性、生存競争を制御する酵素群の機能と構造

研究題目 tRNA分子を標的とする細菌の病原性、休眠、薬剤耐性、生存競争を制御する酵素群の機能と構造
年度/助成プログラム 2023年度 ハイリスク新興感染症研究助成
所属 東京大学 大学院 新領域創成科学研究科 RNA生物学分野
氏名 富田 耕造
キーワード 病原性細菌 / 転移RNA / 翻訳阻害 / 構造解析 / 分子機構
研究結果概要 本研究では、病原性細菌の増殖制御や生存競争に関与するトキシンの分子機構を詳細に解明した。まず、結核菌が有するMenT3トキシンについて解析を行い、特定の転移RNAであるセリン受容tRNAを選択的に認識し、その3'末端に連続したシチジン配列を付加することでtRNAを不活性化し、タンパク質合成を阻害する仕組みを明らかにした。この特異性は、MenT3のヌクレオチド結合ポケットがCTPに適合した構造を持つこと、およびtRNAの長いバリアブルループを認識することに依存していることが示された。さらに、尿路病原性大腸菌においては、接触依存性増殖阻害因子CdiA-CTが宿主内タンパク質CysKと結合することで構造変化を起こし、活性化されることを明らかにした。この複合体形成によりtRNAを特異的に認識して切断する触媒部位が形成され、標的細菌の増殖が抑制されることが示された。これらの成果は、細菌特有のトキシン活性化・機能発現機構の理解を深めるとともに、その阻害を標的とした新規抗菌薬開発への応用が期待される。
公表論文 Mechanism of activation of contact-dependent growth inhibition tRNase toxin by the amino acid biogenesis factor CysK in the bacterial competition system.
Nucleic Acids Res., doi: 10.1093/nar/gkae735, 2024

Substrate specificity of Mycobacterium tuberculosis tRNA terminal nucleotidyltransferase toxin MenT3.
Nucleic Acids Res., doi: 10.1093/nar/gkae177, 2024