研究助成

2024年度 高等学校理科教育振興助成

伝統農法「稲踏み」における生育効果の科学的検証

研究題目 伝統農法「稲踏み」における生育効果の科学的検証
年度/助成プログラム 2024年度 高等学校理科教育振興助成
所属 ノートルダム清心学園清心女子高等学校
氏名 田中 福人
キーワード 稲踏み / 踏圧ストレス / 根系形成 / DRO1遺伝子 / 病気耐性
研究結果概要 本研究では、稲の苗に踏圧ストレスを加える伝統農法「稲踏み」について、地上部の成長、根の生育、病気耐性関連遺伝子の発現の3点から効果を検証した。稲踏みを行った個体では、草丈が短くなり、茎が太くなる傾向が見られ、倒伏しにくい形態への変化が示唆された。また、葉の細胞観察では、稲踏みによって傷がついた部位の下部で細胞の長径が短くなっており、草丈の伸長抑制には細胞レベルでの成長変化が関係している可能性が示された。根では重量や角度に変化が見られ、品種によって根を横方向に拡げる応答や下向きに伸ばす応答が異なることが確認された。さらに、根の重力屈性に関わるDRO1遺伝子の発現量変化から、根の角度変化には遺伝子発現を伴う生理的応答が関与している可能性が示された。病気耐性については、WRKY45やOsNPR1の発現量が増加し、稲踏みが植物免疫を高める可能性も示唆された。以上より、稲踏みは農家の経験則にとどまらず、イネの形態形成や遺伝子発現に影響を与える有用な栽培技術である可能性が示された。
公表論文