研究助成

2024年度 高等学校理科教育振興助成

九谷焼で作る重力ポテンシャル形状と実験教材の開発

研究題目 九谷焼で作る重力ポテンシャル形状と実験教材の開発
年度/助成プログラム 2024年度 高等学校理科教育振興助成
所属 金沢大学附属高等学校
氏名 渡會 兼也
キーワード 九谷焼 / 重力ポテンシャル / 実験教材 / STEAM教育
研究結果概要 本研究は、高校物理「万有引力」の単元では生徒実験が困難である課題に対し、石川県の伝統工芸・九谷焼の技術を用いて重力ポテンシャル形状を再現した実験教材の開発を目指した。まず3D-CADで距離に反比例する重力ポテンシャルの数式に基づいて設計を行い、九谷焼職人の利岡氏と協議を重ねながら、ろくろ成形による造形に取り組んだ。中心から外側へ広がる薄い形状は粘土の自重で変形しやすく、形状維持が極めて困難であったが、利岡氏の高度な技術により教材としての機能と器としての美を両立した造形が実現した。完成した器でビー玉を転がしたところ、心地よい音と共に美しい螺旋軌道が確認された。形状測定では曲面は2次関数となり、設計通りの形状の再現が難しいことが分かった。当初は安価な教材の量産・普及を想定していたが、実際には高度な職人技が必要であり、「工芸品の美と科学的機能の融合」にこそ真の価値があると再定義するに至った。この成果を踏まえ、伝統工芸を理数教育に組み込む「C-STEAM」等の新たな教育概念を提唱し、日本物理学会等の学会で報告を行った。今後は授業での生徒実験の実践や他の職人との協働へと展開していく予定である。
公表論文